2008/05/13

蘇三茶室

香港でカフェを新たに創ろうとしているひとたちがいる。ここでいうカフェとは、世界に誇る飲茶という文化を体現する茶樓のことでも、香港独自に発展したカフェレストランである茶餐廰ことでも、アーティストや思想家が集まってサロンを形成したパリのそれでもない。ここでいうカフェとは、代官山や裏原宿にある居心地重視のなぜかBGMがボサノヴァな、妙に凝った器で盛り付けの少ないそれのことである。
蘇三茶室がオープンした当初は、日本のファッションが大好きな流行に敏感な層の支持をうけていたようだが、ここ最近、著名なコラムニストの支持もうけるようになっている。
「カフェ飯に旨いものなし」を座右の銘とする私にとって、どうでもよい存在だったこの店も、こうなってくると訪問せざるを得ないのである。
蘇三茶室は、土瓜灣の自動車修理工場が立ち並ぶエリアにある。なぜか落ち着くエリアだ。店内は、高い天井があり、オープンキッチンでありながらとても静かなときを過ごすことができる。カフェの箱としてなら、居心地のいい部類だと思う。そして、店員さんもとても親切だ(一生懸命過ぎて空回りなところもある)。
問題は、ハードではなくソフト。「茶室」とするからには飲み物が充実していてよさそうなものなのだが、しょぼいの何の。料理はどうかというと、イタリア料理をベースにした創作料理の数々…なのはいいのだが、どれも炭水化物系なのでコースを組み立てられない。なかには、うどんとか雲呑なんてのもあるのだが、街場の4倍くらいの値段がする。
    食べてきたのは以下のとおり。
  • 海鮮意大利飯(海鮮リゾット香港風) 148HKD
  • 秘製滷牛[月展]飯(牛筋煮物かけご飯) 48HKD
  • 上湯浸小棠菜(チンゲンサイのスープ煮) 失念

確かに手間をかけたことは十分に伝わって来るのだが…香港にはもっと美味しいものが沢山あるよね。
提案なのだけれど、うまいコーヒーとかデザートに特化するとか、夜はちょっと酒も飲めるとかにした方がいいかと思う。今は、何がやりたいのか見えてこない。
香港の新しいカフェ文化は始まったばかり。それが根付くか否かはこの店の成否にかかっているので、頑張って生き残って欲しいものだ。
みなさんも是非、蘇三茶室に足を運んで意見してあげてください。