2017/03/19

横浜中華街 南粤美食で粥底火鍋宴会

粥底火鍋とは、スープが粥の火鍋です。廣東省順徳縣の郷土料理とされ、近年香港でもポピュラーになっています。
スープとしての粥は、予め廣東粥のように味付けがなされており、そのなかにさまざまな具を投入していくうちに、絶品の粥に仕上がっていきます。
ちなみに、スープにサラサラした重湯状の粥を使用するのが順徳縣スタイル、ドロドロした廣東粥を使用するのが香港スタイルであると、香港人の友人に教えてもらいました。

今回は、横浜中華街の廣東料理店・南粤美食で、粥底火鍋の宴会をお願いしてみました。
この宴会においても、いつもどおり、1か月以上前から自分が食べたいものをリストアップし、店と数回に渡る相談のうえ、内容を決定しています。
また、この宴会で使用する食材の試食も行い、工夫点、改善点の意見交換もしました。南粤美食の黄廚師にとっても、私にとっても、日本での初めての粥底火鍋宴会です。研究に余念がありません。

宴会当日は、厨房の処理能力から貸し切りとなりました。

参加者は、14名、テーブル配置はこんな感じ。円卓をくっつけてもらいました。日曜日の昼下がり、太陽光がローズホテルに反射し、店内を明るく照らし、非常に居心地のよい空間を作り出しています。

当日のメニューは以下のとおりです。
1.鹽焗鷄
南粤美食の名物、鷄の塩釜蒸焼きです。今回は、この鹽焗鷄を粥底火鍋の具としていれてみようと考えてだしてもらいました。というのも、香港元朗の人気粥店の看板メニューの鷄粥には、この鹽焗鷄の塩気を強くしたものを使用しているのです。
折角なので、半分は前菜として普通に食べ、残りの半分を鍋に投入してみました…結果は、「うまい!」です。みなさんも機会がありましたら、試してみてください。

2.粥底火鍋
  鮮海中蝦

 扇貝
 海鮮丸子
 鷄肉片
 牛肉片
 荳腐
 冬菇
 南瓜
 油條
 蛤蜊

 魷魚
 生菜
 牛肉丸子
 豬潤
 炸雲吞皮


すごいことになりました。
食べ方は、好きなようにすればいいのですが、やはりおいしいダシがでる海鮮から投入することにしました。また、イッキにいろいろ入れるのではなく、一種づつ入れた方が味わいが確認できるので、一種類食べ終わったら次を投入という食べ方をしました。

さて、粥底火鍋の醍醐味は、粥を育てることです。食べ進んでいくうちに、いろんな食材からダシやらうま味がにじみ出て、それこそ絶品の粥になっていきます。
画像をみると、粥の色が変化していることにお気づきでしょうか?乳白色の粥がだんだん黄色くなっていく。今回は、素晴らしいおいしさに育ってくれました!

初期状態

中盤1

中盤2

最終局面

全員、お腹いっぱいで、もう食べきれないと言いながら、油條まできっちりと食べてしまいました。

3.鮮奶燉蛋
デザートは、蒸プリンです。もちろん、メニューにはありません。貸し切りの予約宴会ならではのものだと思います。まさか、こんなに美味しいものを日本で食べられるなんて思ってもみませんでした。香港 義順牛奶公司のものにも負けないくらい美味しかった。

粥底火鍋宴会を実施してよかった!こんなに素晴らしい内容になるなんて、予想を遥かに超えるものとなりました。これも店の熱意の現れであり、感謝するばかりです。ありがとうございました!

2017/01/30

潮州菜農歴新年會2017


2017年1月29日(農歴初二)。横浜中華街・大珍樓本店での農歴新年會を開催しました。




本来であれば、春節らしい料理で豪華に飾るところです。しかしながら、2016年12月の忘年會の時点で重大なニュースを大珍樓から聞かされていました。「大珍樓本店は早ければ2017年1月いっぱいで閉店します。」本店の閉店と同時に本館のチーフである王廚師が大珍樓を去るとのこと。これが意味することは、王廚師が得意とする潮州菜がもう食べられなくなることと同義です。たとえ、王廚師が日本の他の店に行ったとしても、やたらと手間ばかりかかって儲からない潮州菜宴会を引き受けてくれる寛容な経営者かどうかが重要な鍵となります。そういう意味で、大珍樓の理解ある経営陣と王廚師の組み合わせは、奇跡としか言いようがないと改めて思います。

さっそく、新年會の予約を入れ、料理はもちろん私が最も好きなローカルフードである潮州菜の宴会としました。

新年會日に聞かされたのは、「本日が最終営業日です」。嗚呼、「ついに来たか!」という思いでした。予定は決定になっていました。これも経営方針ですから仕方がありません。日本ではおそらく唯一のホンモノの潮州菜宴会ができる横浜中華街大珍樓本店と王廚師による料理を徹底的に楽しむことにしましょう。

今回の料理は以下のとおり。すべて私からのリクエストです。


1.鹽脆花生・鹹菜粒2.潮州滷水
 (千層肉・豬脚凍・鴨肉片・鷄翼・鷄蛋・荳腐)
3.鹹檸檬燉鴨
4.炸牛肉丸
5.炸荳腐
6.梅子蒸大鱔
7.脆皮糯米醸大腸
8.魷魚碎肉粥
9.雙味水晶飽
10.白果芋泥


鹽脆花生

鹹菜粒
 このなんでもないおつまみ二品をみただけで、わかるひとには「おお!潮州料理店に来たなあ!」と思っていただけるかと思います。それほど、象徴的なんです。



豬脚凍

荳腐

鴨肉片

千層肉

鷄蛋

鷄翼


滷水煮の数々。全部、前菜です。これだけで居酒屋が開けちゃいますね。臺灣の魯味ともまた違う味わいがあります。美味しかった!

鹹檸檬燉鴨
これは、私が香港で買ってきた潮州菜には欠かすことのできない鹹檸檬を使ったアヒルの蒸スープです。潮州名菜と言ってもいいでしょう。疲れた身体には効果抜群で、蒸スープならではの深い味わいがあります。

炸牛肉丸
いろんな香りが練り込まれた牛肉団子を揚げたもの。このなんでもない肉団子が食べたものを歓喜させる威力を持っていました。「なんでこんなにおいしいんだ?」誰もがそう思ったかと思います。

炸荳腐
本来であれば、サツマイモの粉で作った豆腐を使いたいところですが、さすがに手に入らないので日本の荳腐で代用です。これはカリッと揚げた脆皮ではなくしっとりとしたタイプで、このタレが実によくあうのです。 


梅子蒸大鱔
これまでの潮州菜宴会では、 魚料理は烏魚(ボラ)を使って、凍魚飯にしたり、鹹檸檬で蒸してもらったりしてきましたが、今回は鰻を梅蒸しにしてもらいました。鰻の油のこってり感を梅で消し去りながらも、鰻らしいワイルド感を残すおいしさです。素晴らしい一品です。


脆皮糯米醸大腸
豚の腸にもち米やらナッツ類を詰め込んで、カリカリに揚げた料理。もう、潮州菜の神髄ここにありといいますか、これが日本で食べられることが嬉しくてたまりません。 


魷魚碎肉粥
前回の潮州菜宴会で出してもらったイカとひき肉の粥。あまりも美味しかったので、もう一度だしてもらいました。これが最後、二度とこんなに美味しい粥には巡り合えないだろうと思うと、思いもひとしおです。
雙味水晶飽

雙味水晶飽

白果芋泥
潮州菜ならではのデザート。お饅頭とタロイモを磨ったもの。大満足でした!

徹頭徹尾王廚師渾身の潮州菜宴会。日本で潮州菜を再現すること…形だけならできますが、ホンモノの再現は困難を極めます。しかしながら、それができたのは、大珍樓本店という理解ある店があったからこそ達成できたものと私は思います。他の店ではまず「断られる」ようなリクエストを快く引き受けてくれた大珍樓本店に深い感謝の念を捧げます。

ありがとうございました。

2016/11/13

萬来亭で菊花大閘蟹宴(秋の上海蟹宴会)2016

すっかり恒例行事となった上海蟹宴会をやっぱりいつもの横濱中華街・萬来亭で実施してきました。

宴会仲間も私も萬来亭の上海蟹宴会を毎年楽しみにしています。毎回、どうしても外せないおなじみメニューを組み込むものですから、それ以外の数品で変化をつける必要があります。これがまた大変に難しく(かつ楽しく)、いつも幹事を悩ませます。宴会の度に、所有する文献をひっくり返して調べ上げるのですが、結局のところ、過去に出してもらった料理に再登場願うことになります。芸がないようですが、それがベストなのだと確信しています。

今回のメニューは、以下のとおり。

1. 雪菜毛荳炒百頁:塩漬け野菜、枝豆、押し豆腐の炒め物
2. 醉蟹或蒸蟹:酔っ払い上海蟹 または 蒸し上海蟹
3. 紅焼中蝦茭白:エビとマコモダケの醤油炒め
4. 芋頭炆鷄:里芋と鷄の煮込み
5. 蟹肉蟹粉獅子頭:蟹みそ、蟹肉の肉団子
6. 醤爆蟹:上海蟹のみそ炒め
7. 蛤蜊燉蛋:はまぐりの茶わん蒸し
8. 醤爆蟹拌麪:上海蟹のみそ炒めの和えそば
9. 桂花酒醸湯圓:酒粕のお団子スープキンモクセイ風味

さて、宴会当日。この日の天気は、晩秋らしく突き抜けるような晴天。おまけに小春日和。真っ昼間から宴会のことしか考えていないダメな面々が集いました。

天気のせいか、料理のせいか、いつもよりもハイペースで紹興酒が消費されるどんちゃん騒ぎとなりました。

すばらしい料理の数々は以下のとおり。

雪菜毛荳炒百頁
 塩漬け野菜、枝豆、押し豆腐の炒め物。

今回も予算の関係で、上海蟹は、蒸し蟹か酔っ払い蟹を選択する方式をとりました。
蒸蟹
もちろん、これは上海蟹の蒸し物。
醉蟹
 これは、酔っ払い上海蟹。
紅焼中蝦茭白
エビとマコモダケの醤油炒め。
宴会当日朝、店主から電話があり、マコモダケを薄くスライスにするか大き目にカットするかの質問がありました。マコモダケは歯応えが楽しいので、大き目カットでお願いしました。今回、エビの使用を指定していなかったのですが、これがまたマコモだけと実によく合います。思わず、うなりをあげてしまいました。

芋頭炆鷄
里芋と鷄の煮込み。
鷄の味はすっかり抜け落ちて、里芋に染みております。こういうのを出されたら、美味しくて涙がでてきます。さらに、大き目にカットされた生姜の歯応えとおいしさといったら!
蟹肉蟹粉獅子頭
蟹みそ、蟹肉の肉団子。
厨房に沢山のスタッフがいる大きな店ならいざ知らず、萬来亭のような小さな店でこういう手間のかかる料理をだしてもらえることのありがたさ!噛むほどに、上海蟹の風味が滲む絶品です。
醤爆蟹
上海蟹のみそ炒め
上海蟹を独自ブレンドの甘めの味噌をつけて炒めたもの。この甘味噌だけではただの甘い味噌でしかないのですが、上海蟹と合わさるとこ、れほどまでに美味しくなる。奇跡の組み合わせ。
蛤蜊燉蛋
 ハマグリの茶わん蒸し
上海蟹宴会では、濃い味付けのものが続きますので、さっぱりしたものを組み込むようにしています。今回は、後半のスープでそれを実現することにしました。干絲湯(荳腐干と蝦米のスープ)にするか茶わん蒸しにするか悩んだのですが、今回はハマグリの茶わん蒸しを選択。ハマグリの旬からは思いっきり外れているので…そこで代打で登場したのが、ホンビノスです。この謎の名前をもつ二枚貝ですが、出汁が効いて大変に美味しい。高価なハマグリはお金持ちにまかせて、これからはホンビノスですよ!

醤爆蟹拌麪
絶品の醤爆蟹で残った(「残させた」が正しい)味噌を萬来亭の上海焼きそば用の極太麪で和えたもの。この一品の為に、上海蟹宴会をやっているようなものです。昨年は、幹事の指示ミスで細麺が使われて今一つなことになってしまいましたが、今年は違います。上海蟹の風味が染みた味噌と、萬来亭が誇る極太麪の饗宴!うまいという言葉以外のものがでてきません!
桂花酒醸湯圓
酒粕のお団子スープキンモクセイ風味。
上海の伝統的なデザート。酒醸のさっぱりとした甘酸っぱい風味が我々を幸福へと導きます。

今年も、幸せな夢のような時間を仲間たちと過ごすことができました。おっと、紹興酒の飲み過ぎで、甕が空っぽです。予算オーバーで、追加料金発生だあ!(いきなり夢から目が覚め現実に引き戻される…)

この宴会が終わると、いよいよ年末年始に向けて、なんだか忙しい季節に突入します。

幸せになる料理を空間とサービスを提供してくれた萬来亭に感謝。
へべれけな宴会仲間にも感謝。